タクシー乗り場まであと少し…覚束無い足元をじーっと見ながら専務に支えられて歩く
突然黒塗りの高級車が私達がいる歩道に寄せて停まったのを視界の端で捉える
頭上から 「わぁお、いい車乗ってんねぇ、どんなオッサンだか」と専務の声が聞こえた
バンッと車のドアを閉める音と専務が「若いイケメン出てきた」と言った言葉が同時に聞こえる
イケメンだと！？
見たい…
「佳香」
顔を上げるのと同時に名前を呼ばれる
「あれぇーこうちゃんがいるぅー」
夢でも見てんのかなー
「田辺ちゃん知り合い？」
頭上から聞かれ「かれしのこうちゃんれーす」と紹介をする
「お迎えいつの間に呼んだの？」
お迎え？呼んでないなぁー
専務の問に1人首を傾げる
「僕はそこのホテルで懇親会だったんです」
駅に直結している大きいホテルを指して専務に説明しこちらに近付く
「佳香がご迷惑をお掛けしました。」
専務からこうちゃんに引き渡される
いつものこうちゃんの匂いに思わず顔をこうちゃんのスーツにスリスリした
後ろで専務と小木曽くんが「うわぁ…スーツが…」と声を揃えていたけど、なんのことか…
