隣人が世話焼きな件について



10月1日は快晴で秋だと言うのに半袖でも過ごせそうな陽気だ


最終面接以来久しぶりに袖を通すスーツに前回とは違う緊張を感じる


自室で着替えているとコンコンと扉がノックされ開かれる



「佳香、そろそろ行くね。今日はうちの会社も懇親会があって遅くなるから帰りは気を付けてね」


こうちゃんが開かれた隙間から顔を覗かせる


こうちゃんの会社も今日が内定式で夜にはホテルのホールを借りての懇親会もあるらしい


大きい会社は規模が違うな…

こうちゃんは社長秘書だから必然的に参加だよなぁ


「うん、こうちゃんも気を付けていってらっしゃい」

笑顔でこうちゃんを見送り、カバンの中身を確認して、最後にもう一度鏡で変なとこがないかチェックする



「よしっ」


気合を入れて内定式会場である本社へ出発する








「田辺さんおはよう!」


電車を降りて改札を抜けたところで後ろから声をかけられた


振り返ると以前と変わらないニカっとした可愛らしい笑顔がある


「小木曽くんおはよう」

笑顔で挨拶を返し、並んで本社までの道のりを歩く


「暑いねー」と上着の襟元をパタパタする小木曽くんに前に一緒に歩いた時にも言ってたことを思い出す