やっと見つけた宿の金額を見てギョッとする


一泊二食付きで1人5万…


「あら、そこいいじゃない」


パソコンの画面を覗き込みお母さんが声を上げる


「えっ!?でも1人5万て…」


2人で行ったら10万…!!


私のバイト代2ヶ月分くらいだ



「それくらい大丈夫よ!いつも佳香には寂しい思いさせてるんだからこういう時くらい贅沢しましょっ」


私からマウスを奪い予約を進めていく


あっという間に予約が完了し私のスマホに予約確認のメールが届いた





「さーてご飯どうしよっかな〜」


予約を完了させ満足しキッチンに入っていくお母さんに続いてパソコンはそのままでキッチンに入る



「佳香は料理するの?」


冷蔵庫の扉を上から順番に開けて中身を確認しながら私に問う


「ううん、殆どこうちゃんが作ってくれて、私は邪魔しない程度に手伝うだけ」


苦笑しながら答えると「あははは」と笑うお母さん


「私の子だものねぇ。料理ができないところも似ちゃったのね。」


クスクスとまだ笑ってるお母さんもそう言われると家にいたとしても1人で料理してるところは見たことがない


いつもご飯はお父さんが作るか隣のこうちゃんの家で食べるかのどちらかだった



「今日はこうちゃん帰りが少し遅くなるって言ってたけど、親子丼をリクエストしてあるの」


料理ができないと自ら言っているお母さんが作れるとは思わないけど、一応今日のメニューを伝える


「親子丼いいわね!じゃあ、浩介くんが帰ってきたらなるべく早く食べられるようにお米炊いてサラダでも作っておこうか」


にっこりと提案されたのは親子丼を作るのではなく私でも可能なことだった