素点だった。素点は全部の点数も載っているからタチが悪い。

バンッ!と父がローテーブルを叩き、入っていた紅茶が溢れる。

「なんなんだ‼︎この点は‼︎?ちゃんと勉強したのか!?こんなのありえないぞ!こんなので許されると思ってんのか!?」

そして怒鳴り散らす父。もう。こんなの慣れっこだけど、やっぱり嫌だ。

「きちっと将来のために勉強しなさい‼︎お前は俺の会社を継ぐために産んだんだ!」

プチっとどこかの線が切れる。きっと、怒りの線だ。

〝俺の会社を継ぐために産んだんだ!〟?

笑わせないでよ。私は…物じゃない。機械じゃないのよ。

「お父さん。私、お父さんのために生まれたのですか」

「そうに決まってるだろ!」

ガラガラガラッと堤防が壊れて、怒りと涙がこみ上げてくる。

「違います。私は…あなたのために生きているのではないです!私はあなたのものではありません!」

そういって制服のまま家を泣きながら飛び出す。

もうーーーーーーーーーー

家なんかに帰りたくない。

そう思って。