~~木村翔太(きむらしょうた)目線~~
(どうしよう、わかんないよ…)
難しすぎる問題を見て、軽く目眩をする。
生まれて17年、自分で言えるくらいかっこいい容姿を持っていたおかげで、女子からは結構もてていたと思う。
告白されることも、結構あった。
でも、学年1の美少女からの告白を断ってから、皆から軽蔑される事になった。
告白された数とは別に、OKした事も付き合った事も、1度もないんだけどなぁ。
だんだん離れていく友達もいたが、1人だけ、いつも一緒にいてくれる友達がいた。
それが、大野友希君だった。
友希君は僕が学年1の美少女に告白し、振られたのが嫌で無理やりキスしようとした事になっていると教えてくれた。
その時の僕は荒れて、仲の良かった友達やその子にまで暴力をふるってしまいそうになっていた。
でも、友希君が止めてくれて、僕はたすかった。
(よし、わかった!)
悩んでいた問題を完成させて、次の問題へ進もうとした、その時だった。
教室に勢いよく誰かが飛び込んできた。
「……っ大野……っ、先輩いますか……?」
突然の事件にしばらく反応出来ずにいた。
(えっ、友希君?!)
テスト中に飛び出した友希君に驚き、事態を呑み込もうとする。
(……っ!まずは友希君と、多分有坂君と早田さんだって相当焦っているに違いないから、皆を落ち着かせにいかなきゃ!)
自分自身相当焦っていたが無我夢中で、友希君のバッグと自分のバッグを手に取り、道場まで全速力で駆け出した。