「奏音は、本当に未来から来たの?」


カバンをロッカーにしまってから、教室の隅で尋ねてみた。ちょっと小声で。


なのに彼女は、あっけらかんとした声音で答える。


「はいっ!そうですよ!理由は、昨日話した通りです。…あ、でもこれは周りにバレると面倒なので、内密にお願いします。」


人差し指を口元にあて、しぃーっと言う仕草をする。


「それは…いいけど。その…現代の恋愛、について学びに来たんでしょう?私…何すればいいの?」


こわごわ聞くと、彼女はホットケーキの上でとろけたバターみたいに、ふんわりと笑った。


「そんなに身構えなくていいですよ。ただ、理涼ちゃんの恋の様子を、観察するだけですから!」


そ、そうは言ってもね…と言葉を続けようとすると、彼女は急に立ち上がって、声をあげた。