翌朝。
まだ慣れない電車通学で、まだ着慣れない制服を着て、校門をくぐった。
教室に入ると、黒髪のボブヘアーを揺らす少女と、目が合う。
「理涼ちゃん!おはようございます!」
「おは、よう…。」
昨日のことはともあれ、朝、あいさつをしてくれる子がいるのは、素直に嬉しい。
「今日もいい朝ですね!最高気温は25度、最低気温は14度です!春らしい気温ですね!」
「……。」
その、すらすらとものを言う彼女に、やっぱり昨日のことは、夢ではなかったのかと、思わせる。
「奏音…今どきの女子高生は、気温について語ったりしないよ…。」
「えっ!そうなんですか!勉強になります!」
その言葉に、更に昨日の言葉が、現実味を帯びた。

