中学4年生。

「正確には、好きだった、かな。」


夕方5時を回る北校舎の一室で、私は彼の声に耳を傾ける。


「…今は好きじゃないの?」


「好きだけど…いや、好きじゃねーんだよ、とにかく!」


頬を赤く染めて、批判しているのかしていないのか、よく分からないことを言ってくる。


「嫌いになんて、なれないよね。」


そっと言うと、彼はぴくりと反応した。


「好きになろうと思って、好きになったわけじゃないんだから。嫌いになろうと思って、嫌いになれるわけ、ないよね?」



そう言うと、彼はこちらを見て、「ばーか。」と言った。


その時の瞳は、少し潤んでいるように見えた。


「泣いてるの?」


「泣いてねーわ!誰が、お前の片想い論なんかに、共感するかよ!」


「共感して、泣いてたじゃない。」


「だから泣いてねーー!!」