北校舎4階の、1番隅の教室。
そこが、写真部の部室らしい。


わいわいと騒がしい外の運動部や、楽器の音や歌声が響く音楽部とは裏腹に、そこだけは閑散としていた。


「じゃ、入る…か。」


こわごわと部室の扉を開くと、そこには数人がおしゃべりを弾ませていた。


扉が開いた音に、1人の女の先輩が振り向く。


「ようこそ!写真部、入部希望者さん?」


はきはきと、よく通る声。


髪をひとつに束ねていて、何だか学級委員長のようなイメージだ。


「いえっ、その…見学です。」


部室には、思った通り女子が多い。


青いリボンの3年生が、6人。
緑のリボンの2年生が、5人。
赤いリボンの1年生が、3人…。


全員女子、と思ったが、一番後ろの一番隅の席に、もう1人いた。ひとりでカメラを触っている、赤いネクタイの男子だった。