「へっ？」


突然大きな声を出した彼女に、素直に驚いてしまった。え、何か変なこと言ったっけ？


「別に、そーゆんじゃないですよ！私はもう、理涼ちゃんの恋を見守るって、決めましたから！ただ、私は、蛍翔君の観察する恋を、見つけてあげようと思っているだけで……！」


ああ、と思った。
私が素っ気なくするから、怒ったと思ったらしい。


「全然、かまわないよ！私の恋なんて、観察しても、進展も発展もないしねー。何しろ、もう会えない相手だしさ…。」


「理涼ちゃん。恋なんて、そんなものですよ。少女漫画や、恋愛ドラマみたいに、ぽんぽん物事が進んでいくわけじゃないんです。」


急に、真剣な瞳で見つめてくる彼女に、思わず怖気づいた。


「でも、だからこそ、何かあった時、嬉しいんですよ。小さな幸せに、感謝できるわけです。」



奏音……。