彼女は真っ白なベッドに横たわっており、
壁から天井、床すべてが一面真っ白に仕上げられている。


目を開けるとそこには誰かがいるかのように彼女はにっこりとほほ笑む。

「おはよう真白」


その頃、彼女の部屋へ向かっている二つの足音が廊下に響いていた。
白衣の男性二人のものである。

「次の患者は津野真雪さん、ハタチです」

ほんの少しだけ前を歩く長身の男性がもう一方の眼鏡をかけた男性に目配せすると、
眼鏡男性は手に持っていたファイルに視線を落とした。

それを確認した長身男性は言葉を続ける。

「彼女は二ヶ月前この病室に入りました。幻聴幻覚あります。
 半年前、母親から双子の弟との関係を咎められ、二人は心中を図っています」

「弟さんは?」

「残念ながらその時に命を落としています」

「そうですか」

「えぇ。それで彼女は一命を取り留められましたが、
 現実を受け入れることが出来ていない状態です」