ぱぁーん……。
乾いた音が部屋に鈍く響いた。

「真白、大丈夫!?」

さっきまで私とひとつになっていた彼の頬が朱くなっている。

名前のごとく、真っ白な肌にあの色はよく映えていた。
まるで生を象徴するように。

私は彼に覆いかぶさるようにして抱きつき、目の前の女性を睨みつけた。

彼女はわなわなと肩を震わせ、目には涙を浮かべている。


「どうして……」

唇を震わせながら、彼女は告げる。

「どうして?」

私はオウム返しで訊く。

「どうしてって決まってるじゃないのっ」

「なにが決まっているの?」

「あなたたちは血がつながっているのよ!」

目を大きく見開いて金切り声を上げる。


血がつながっているからなんだというの。
愛し合うことになにが問題なの?

どうして血を分けた人間同士が愛し合うことは許されないの?

どうして?どうして?どうして?