「賭けをしようか」





彼は自身の動きを遅くして言った。



それに若干物足りなさを感じながら彼を見上げる。



目の合うその瞳から感情を読み取るのは不可能で、私は心の内で小さく舌打ちをした。





「…賭け、といいますと?」





彼の生ぬるい汗が私の胸におちて、それが肌に染み込んでいく。





「好きになった方が負け…はどうだろうか」



「……賭けということは勝った方にはなにかあるんですか?」





彼が私の身体を熱くする。



口から漏れる甘い声を必死に押し殺す。





「そうだなぁ。……じゃあ勝った方は負けた方を好きにできる、はどうだろうか?」



「……とても魅力的な話です」





彼の首に手を回し、再開を促すと彼はそれに応えるかのようにまた動きを速くした。



私の息づかいと彼の息づかいが混ざり合い一つになる。



そんなことでしか、私たちはお互いの気持ちを満足させることができない。





「それじゃあ、ゲーム開始だね」









「ーーーー。」

そういったのはどちらだったか。