お父さんはムスッとした表情のままだったが、視線だけでソファを見た。


「まぁ、悪くはないかな」


話相手がお母さんじゃなくなったことで少し機嫌が直った様子でそう言った。


「だよね? お母さんが模様替えをしようって提案してくれたの。さすが、インテリアの才能があるよね」


言いすぎるくらいおだてると、お母さんの顔からも怒りが静まって行くのが見えた。


あと少しだ。


「だけどね、テレビを動かすのが大変なんだよね。移動すれば、もっと素敵なリビングになるのになぁ」


残念そうにそう言うと、ようやくお父さんに笑顔が見えた。


「なんだそういうことか。それなら手伝ってやろう」


自分の家がもっと素敵になることを嫌がる人はいない。


どうにか2人の機嫌が直り、あたしたちは模様替えを再開したのだった。