分岐点だ。


「そうだね」


「じゃぁ、また明日ね」


早苗が言う。


「うん……」


『また明日』は、言えなかった。


あたしに明日は来ない。


それがわかっていたから、どうしても言えなかった。


だけど早苗は特に気にする様子もなく、自分の進む道へと歩いて行く。


あたしは分岐点に立ち尽くしたまま、その背中を見つめていた。


早苗の背中がどんどん小さくなっていく。


もう届かないその背中に手を伸ばす。


そして小さく呟いた。


「ごめんね、さようなら……」