それに……あたしに未来がないということを、あたしはすっかり忘れてしまっていたのだ。


きっと、あたしの人生は今日で幕を下ろすことになる。


そんな日が人生で最高の1日だと思える日になった事を、嬉しく感じた。


同時に、とても悲しくなる。


あたしはもう久志にも早苗にも、そしてクラスのみんなにも会えなくなってしまうのだ。


「蘭、どうしたの?」


悲しみが心の中を支配し始めた時、早苗が心配そうにそう聞いて来た。


「ううん、なんでもない」


あたしはそう言ってほほ笑んだ。


自分次第でこんなに楽しい毎日を作る事ができるのなら、自殺なんてするんじゃなかった。


どうしてもっと早くにその事に気が付く事ができなかったんだろう。


「じゃぁ、ここまでだね」


早苗がそう言って立ち止まる。


気が付けばあたしたちは別々の道へ向かう場所まで来ていた。