脇の下やわき腹。


弱いと思う場所を容赦なくくすぐる。


最初は暴言を吐きかけて抵抗していた正樹も、くすぐったいという感覚には勝てなかった。


怒鳴り声には次第に笑い声が混じりはじめ、どんどんその声は大きくなっていく。


それに続いてあたしたちは衛と俊文もくすぐった。


戦力となっている男子たちが大声で笑い始めたのを見て、美鈴と香織はたじろいている。


「ほら、美鈴も!」


早苗が美鈴をくすぐりにかかると、美鈴は身をよじって逃げた。


だけど逃げるなんてあたしが許さない。


するに美鈴の前に立ちはだかった。


「あんたたちによく叩きこんであげる。殴ったり蹴ったり金を奪ったりするよりも、もっとずっと楽しい事を」


ジリジリと距離を詰めて行くと、美鈴の表情がひきつった。


青ざめて助けを求めるように正樹を見る。


しかし、正樹は今だ久志にくすぐられていて、涙を浮かべながら笑っている。