「友達と話してても、授業を受けてても、全然おもしろくないの。むしろ苦痛に感じること方が多くて、適当な人付き合いしかしてこなかった。だから、クラスのイジメのことなんて知らなかったの」


ソフトクリームが溶けて来たのでそれを舌でなめとった。


甘すぎない、丁度いい甘味が口いっぱいに広がる。


「いろんなものを適当に流して来過ぎたんだよね、あたしは。だからイジメがあることも、自分がそのターゲットになったことも、なんだかとても新鮮なんだ。


もちろん辛いっていう感情はあるけれど、それよりも生きているって感じられる時間になった」


イジメられて生きていると実感するなんて変だと思われるかと思ったが、両親は優しくほほ笑んだだけだった。


まるで、どんなあたしでも丸ごと包み込んでくれるような笑顔。


そして実際この人たちはそれができる人なんだ。