久志には早苗もついている。


きっとあたしがいなくなった後もうまくやっていく事ができるだろう。


今の強い気持ちを忘れずにいれば、イジメだって撃退してしまえるかもしれない。


「ねぇ久志。あたしはやっぱり黙っていることはできなさそうだよ」


あたしはパックの紅茶をひと口飲んでそう言った。


久志は食べ終えたお弁当を片付けていた手を止め、あたしを見る。


「イジメられればそれが態度に出る。だけどイジメを隠している事で、傷つけてしまう人がいる」


それはあたしの両親の事だった。


「久志の名前を出すつもりはないけれど、それでもちゃんと伝えなきゃいけない」


そう言うと、久志はゆっくりと頷いた。


「うん……わかってる」


「あたしの両親がどう出るかわからないけれど、もしかしたら全部バレるかもしれない」


「うん。覚悟をしておくよ」


久志はそう言うと、大きく息を吐き出して空を見上げた。


「このまま隠し通せるわけがないって、本当は気が付いてたよ。いつかはちゃんと話さなきゃって」


「久志……」


「本当は自分の力で全部解決したかった。親の力を借りてイジメをなくすなんて、そんなダサい事したくなかった」


久志はそう言い、自虐的な笑顔を浮かべて見せた。