「嘘をついてもダメよ。あんたの嘘なんて簡単に見抜けるんだから」


そう言われて、あたしは自分の頬に触れてみた。


そんなにわかりやすく顔に出ていただろうか?


「あんたの親だからわかるの!」


あたしの仕草を見て心を読み取ったお母さんは苛立った様子でそう言った。


「あぁ、そういうことか」


ヘラッと笑ってみても、お母さんには通用しない。


「学校、楽しくないの?」


「そんなことないってば。友達もいるし、楽しいよ」


「本当に? 勉強についていけてないとか、苦手な子がいるとかじゃないの?」


「もう、お母さんってば心配しすぎ」


このままじゃ根掘り葉掘り聞きだすまで解放してくれなさそうだ。


あたしはそう思い、立ち上がった。


お母さんの背中を押してドアまで移動する。


「本当に、心配することなんて何もないから、安心してね」


あたしはそう言い、ドアを閉めたのだった。