仮にここから飛び降りて死んでしまったとしても、あたしには何の後悔もない。


受験を終えて空っぽになってしまった心は今だに空っぽのままで、そこを埋める術は持っていないのだ。


なんだ、簡単なことじゃないか。


あたしはふふっと小さく笑った。


こんな簡単な事で日常が変えられるというのに、どうして今まで気が付かなかったんだろう。


あたしは足を窓枠にかけた。


もっと早くこうしていれば、夏休みが始まる前からこうしていればよかったんだ。


グッと身を乗り出すと風が吹いて長い髪を泳がせた。


あたしは髪を耳にかけて、キラキラ輝く宝石のような木漏れ日を見た。


ほら、全然怖くない。


あたしは自分でもおかしくなるくらい、冷静だった。