「蘭のパンツなんて誰も見ないって」


美鈴がイラついたようにそう言った。


あたしは道路へと視線を向ける。


まだ時間が早いから、人の姿は見えなかった。


運よく誰かが通りかかってくれたら。


そんな淡い期待は一瞬にして消え去って行く。


あたしはため息を吐きつつ、窓枠に手をかけた。


久志は身長があるから軽々と中へ入って行ったけれど、なかなか大変かもしれない。


よいしょ! という掛け声と共に室内へ体を滑り込ませた。


自分たちのサボリ場だからか、フローリングは案外綺麗な状態が保たれていた。


律儀に掃除しているようだ。


あたしに続いて美鈴と香織も室内へと入って来る。


自然と、あたしと久志、美鈴と香織が対峙する形になった。