久志の心の中にはしっかりとした怒りが根付いているようだった。


「なんか、安心した」


「は?」


「もうなにもかも諦めてるのかと思った」


「諦めたいと思ったよ。やめたいって思った。だけど、生きてるんだからどうしようもないだろ」


久志はため息交じりにそう言った。


『生きてるんだからどうしようもない』


その言葉がおかしくて、あたしはまた笑った。


あたしは『生きて』さえいない。


「学校、行こう」


立ち上がり、久志の手を握ってそう言った。


「なんでだよ、行かないって言っただろ」


「学校へ行かないのはあいつらの思うつぼだよ。せっかく制服に着替えて家から出て来たんだから、行こうよ」


そう言い、無理やりベンチから立ち上がらせた。


2人ともボロボロの格好のままだから、学校へ行ったら大注目の的になるだろう。