アラトとマフユが階段を上り長い廊下を歩いていると、アラトは廊下の窓から見えた景色に息を飲んだ。

「すっげぇ!!!シロキ! ここから見えてるものって本当に現実の物なのか!?」
「うん。私たちにとっては夢の世界かもしれないけど、ここにいる人たちには現実の世界。地球と同じで、この世界も実在している世界だよ」
「俺たちには夢の世界……か……じゃあ、もし俺が目覚めたら、ここには来れなくなるのか」

マフユは残念そうにしているアラトを見て、真剣な顔をしてここはただの夢の世界ではないと伝えた。
夢ならば確かに楽しい異世界を病気のおかげで長く体験できると思えるかもしれないが、この病気はそんなに優しいものではなかった。

「今は私たちにとってもここが現実世界なの。ここで敵と戦って死んでも、夢から覚めるわけじゃなくて私たちの世界にいるアラトが本当に【死んじゃう】の」
「え?」

マフユが窓の景色を見ながらそう言うと、「いこう」と謁見の間へと向かった。