魔法と少女は幸せを知らない

お城の前に着くと、門番をしている二人の兵士がアラトとマフユの足を止めた。

「小さい子供が、お城に何用ですか?」
「ここは神聖な場所ですよー? 迷子は警察へ行ってくださいねぇ〜?」

挑発とも取れる兵士の嫌味な態度にアラトがムッと顔を顰めると、そんな兵士の態度には慣れているかのようにマフユは質問に答え始めた。

「王女様に謁見願えますか? 国前のコロッテウム戦場にこの人が倒れていて、見たところ異世界からやってきた者のようなので、王女様への挨拶も兼ねて今回のカックラッチ(弓使いの骸骨)討伐の成果と『始まりの装備』をもらいに来たのです」
「ほー……。カックラッチねぇ……まぁいいだろう。報告遅れは王女様の依頼を受けたギルドの信用を壊すことになる。その弓矢は預けてもらうぞ」

アラトが弓矢を兵士に渡すと、兵士たちは通れと道を開けた。

「ありがとうございます」

マフユが一礼し、続けてアラトが通る頃には兵士達は欠伸をしながら門の番に戻っていた。