剣が指すその方向には骸骨のような姿をした化け物がドラゴンに跨って弓を構え、攻撃体制に入っていた。

「3…2…1……。行って!」

少女の声と同時に骸骨が放った矢はアラトを目掛けて一直線に飛んできた。

「うわぁぁああ!」

初めて化け物を見たアラトは恐怖心で思うように足が動かず、その場で尻餅をついてしまった。もうダメだ! とアラトが身構えると、矢はいつまでも飛んでこなかった。

「なにしてるの……。情けなくなったね……」
「あんなん初めて見て、俊敏に動ける方がすごいっつーの!」
「動けないなら、仕方ない……。倒すからちょっと待ってて……」

少女の少し前には真っ二つになった矢が落ちていて、アラトと少し話すと一瞬にして敵の目の前に移動し、剣を構えて敵の胸のあたりに思い切り突き刺していた。
アラトの目の前で起こった戦いは一瞬にして終わった。これが新しい世界でアラトが見た最初の光景で、アラトもやがてこの戦いに参加することになるが、それはまだ先のことである。