そして「何よそれ、さすがに失礼だよ!」と抗議する前に、理一君は給湯室を出て行ってしまった。


理一君の言ってる事は正しいと思うし、私だってほぼ同じ認識だ。でも、さっきの理一君の言い方だと、まるで私が女子として認められてないみたい。理一君が私を好きでいてくれる可能性を含めても、ナシな対応だ。

「樹くんだったらもうちょっと上手く説明してくれるのに」

ついつい拗ねて頬を膨らませてしまう。こういうのが子供扱いされる理由なんだけどさ。
そうやって独り言で文句を言っていて、ふいに気付いた。

「あれ?」

私、理一君のことさえ樹くんと比べてる。樹くんを基準にしてる。

樹くんならもっと分かりやすく言ってくれるのに、私を認めてくれてもっと優しくしてくれるのに、って。

「あぁ、もう‥‥‥」

自分で自分が情けない。
職場で、しかも仕事中なのに、私は冷蔵庫に背中をもたれたまま、ずるずると座り込んだ。