「帰りは理一君じゃなくて、俺と帰るんだ。ちゃんと店まで迎えに行くから、理一君と帰っちゃダメだ」

「なんで?理一君が送ってくれるのに、わざわざ樹くんに迎えに来てもらう方がおかしいよ。きっと理一君もそんな事しなくていいって言うと思うし」 

「ダメだよ。一番大切って言ったろ?帰りは俺と帰るんだ」

「え、でも‥‥‥」

「理一君には、前もって言わなくてもいいよ。いや、言わない方がいいかもしれないな。俺は店と時間さえ教えてくれたら迎えに行けるんだし」

「それはダメだよ。私を送らなくていいって分かってれば、理一君だって誰かいい感じになった子と二人で帰れるんだし。せめて伝えて‥‥‥」

「その心配はいらないと思うな。柚珠奈に好意を持っていてもいなくても、彼は柚珠奈を置いて、他の女と消えたりなんてしないさ」

なんだか、樹くんの言い方がどんどんとげとげしくなってる気がする。もう理一君の話題はよそう。

「分かった。じゃあ、理一君には樹くんのお迎えの話はしないでおくね。でもさ、樹くんにお迎えに来てもらうのが、なんで一番大事なの?」