「柚珠奈はそんな事、気にしなくていいんだよ。俺がいたくて、柚珠奈と一緒にいるんだし。それに柚珠奈の面倒みるの、もう俺のライフワークになってるんだからさ」

言い聞かせるような口調に反抗心がムクムクと湧き上がる。

「だって私のせいで樹くんが幸せになれなかったら困るもん。責任者取れないし。
それに、樹くんがいなくても私にはまだ過保護な人がいるから。樹くんは安心して自分の彼女の面倒みるのをライフワークにしたらいいんだよ」

「過保護な人?それ、誰の事言ってるの?」

からかうような言葉が挑発してるように感じられて、わたしは引っ込みがつかなくなってしまった。

「従兄弟のりーち君とか、だよ。親戚で集まる度に、私の事が心配だって言ってくれるの。今度ご飯連れてってやるって言われてるし」

「‥‥‥柚珠奈はそれ、嬉しいの?」

こんな時、樹くんに寂しそうな顔されると、なんだかひどく悪い事してる気分になる。そして、それ以上言えなくなって、話はそこで終わってしまうんだ。

それに、私も別に嬉しいわけじゃないし。
小さい時はいじわるだった理一君は、大人になって優しく格好良くなった。でも、だからって従兄弟以上の存在になる事はないから。樹くん以上の人にはならないから。

そして彼氏じゃない樹くんだけどやっぱり私には特別だって、確認して終わるんだ。
あんまり嬉しくない現実だけど。