とは言ったが、かなり希望的観測である事は想像がつく。おばさん達も半駆け落ち状態で結婚して、和解したのは柚珠奈の誕生がきっかけだったって言うし。


「ね、大丈夫だよね?お祖父様は私に甘いし、反対されたりしないよね?」

「どうかな。柚珠奈を愛してるから反対するって事はあるかもよ?お祖父様からしたら、俺なんて見知らぬ若造だし」

「あの、樹くんは、さ、反対されたからって、別れたりしないよね?面倒臭くなったりしないよね?」

淡々と悲観的な事を話すから不安になったのか、俺のジャケットを着の袖口を握って、上目遣いで柚珠奈が聞いてきた。

「なるわけないだろ。俺が信じられない?」

「ううん!樹くんの事、信じてる。でも、なんか不安になっちゃって‥‥」

気持ちが通い合ってからの柚珠奈は俺に素直過ぎるほど素直だ。今も自分の気持ちをそのまま出して、潤んだ瞳で俺を見上げる。

この頼り切った仕草にぐっとこない男なんていない。家だったら絶対抱き締めるけど、さすがにこの場所ではマズい、と必死に気持ちを抑えた。