「ってこれ以上イジメたら柚珠奈に嫌われちゃうか。いいよ、服着て、シャワー使っておいで。俺は朝食の用意をしてくる」

チュッと私の頭にリップオンを響かせて、樹くんが部屋から出て行った。

上半身は裸だったけど、下にスウェットを履いてたのをみると、どうやら先に起きてシャワーも済ませたらしい。

部屋から出て行く樹くんの後ろ姿をしっかりと目で追う。昨夜私を抱きしめた身体は引き締まって筋肉質でとてもしなやかな綺麗な身体だったから、明るいところで見たかったのだ。

「って、しっかり見てる私も私だけど」

呟きながら、まとめて寄せられていた洋服を身に付ける。

シャワーをして、朝食を食べたら、とにかく家に帰ろう。会社を休むにしろ、早く家に帰った方がいい。

付き合う報告をしたって事は彼氏の家に外泊したって事だもん。親に何があったか想像されるなんて恥ずかしい事はなんとしても避けたい。早く帰れば、遅くまで話し合って寝込んでしまったで、押し通せるかもだし。

実際に起こった事を考えると、普通な顔で嘘が突き通せるかは微妙だけど、やるしかない。

妙な覚悟を持って、私は急いで浴室に向かった。