「柚珠奈、おはよう」

「お、おはよう」

ゆっくり開けた視界には満面の笑みの樹くん。とろけそうな顔で私を見つめてくるけど、私は恥ずかしくってまともに目を合わせられない。

樹くんが全身から放出してる甘い空気も体に残る気だるい違和感も、昨夜の出来事を、脳内によみがえらせてしまうから。私より高い体温や優しい指先なんて‥‥‥ダメだ、やめよう。これ以上思い出したら、恥ずかしさで死んでしまう。

「あの、服着たいんだけど‥‥」

遮光カーテンの隙間から溢れる光が朝だと伝えている。早くしなければ、遅刻だ。

「その前にシャワーしなくていいの?」

「したいけど、このままじゃ浴室まで移動出来ないもん。だから」

服を着る間部屋から出て行ってくれ、と続けるはずの言葉はキスに邪魔された。

「な、なに、してっ!」

「んー?だって柚珠奈、可愛いから」

「そういう問題じゃないでしょ!ってか、早く服着て準備しないと遅刻しちゃう」