「あ、のね、言ってなくてごめんね。実は今朝、理一君から会いたいって電話が来たの。で、予定があって会えないって言ったら、明日の仕事の後に時間とってくれって」

今回の話を自分の口から直接、私に説明したいと言ってくれた理一君はとても真剣な口調で、断るなんて出来なかった。

「断って。そんなの、今から俺と行けばいい」

「それは、ダメだよ。理一君、二人で話したいって言ってたもん」

申し訳なさそうにしながらも、譲る気配がないのを察したのだろう。私の頭にコトンとおでこを乗せて、ため息をついた。

「仕方ない、いいよ。相手の事を思い遣るのは柚珠奈の良いところだし。でも、会う店は教えといて。帰りも俺が迎えに行く」

「お店は多分、理一君が決めるからそれは難しいと思うんだけど‥‥‥それに、何時に終わるか分からないから、お迎えもいいよ」

人生を変える大事な話だもん、理一君の話も長くなるだろうし、私もきちんと聞いておきたい。終わりの時間やお迎えを気にしながらじゃ、中途半端になってしまう。

「ダーメ!それなら、今から理一君に一緒に会いに行く。ここは譲れない」