アルフレッドがシルディーヌの真横にある石に腰を下ろし、じっと見つめてくる。

焚き火がチラチラと顔を照らし、燃える炎が移っているかのように視線が熱い。

それからは巧みなアルフレッドの尋問により、ペペロネと一緒にいたら袋をかぶせられたことから始まり、髭もじゃの男に貧相だと言われたこと、果てには食事内容や考えていたことまで、すっかり全部を訊き出されていた。

アルフレッドの据わった眼が一点を見つめ、やがてドスの利いた声を出した。


「なるほど、分かった。ちょっと待ってろ。すぐに済ませてくる」


ゆらりと立ち上がったアルフレッドの体から、炎のようなものが揺らめいて見える。

気のせいかしら?と思ったシルディーヌが目をこすっているうちに、アルフレッドはフリードの元へ行った。


「準備はできているのか」

「はい。滞りなくできています。虫一匹たりとも建物の外には出られません」

「よし、全部壊していいぞ。壊れなかったら燃やしてしまえ」

「は……了解しました。組織の連中はどういたしましょうか」

「一緒に燃やせ。生きていてもどうせ虫の息だろう、構いやしない。俺はあいつを連れて先に戻る。事が済んだら報告しろ」

「は、命令のままに」


シルディーヌは自分の耳を疑った。

アジトを人ごと燃やしてしまうなど、なんて容赦がないんだろうか。

でもこれが、敵を完膚なきまでに叩きのめす鬼神の騎士団長たる姿なのだ。

アルフレッドは木の枝に掛けてある外套を取り、茫然としているシルディーヌにふわりと羽織らせた。