ちらりと顔を上げて陵を見た。

わたしが受け取るのを陵は笑顔で待っている。


「…ありがとう」

申し訳ない気持ちもあったけど、お店で見ていたガラス玉が、今手の中あると考えると自然に頬が緩んだ。


駅のホームから電車が来るアナウンスが聞こえた。

「あ、行かなきゃ。今日は本当にありがとう!」

手を振ってわたしは改札を通った。


駆け足で階段を駆け上がりホームに向かった。



不思議。

いつもなら息が切れてもおかしくないのに、またまだ走れそうな気がする。


ホームに着くと、愉快な駅メロが流れた。

わたしの地元の駅とは違う曲だ。


電車に乗り込み、耳慣れない曲を聞きながらガラス工房から遠ざかっていくのを感じた。


かばんを開き、さっき陵からもらったプレゼントを取り出した。

丁寧にリボンを解きガラス玉を手のひらに乗せた。


電車の揺れで、コロコロと手のひらでガラス玉が躍る。


頬の筋肉が緩んでいることがわかった。

きっと周りから見れば変な子だろう。


だけど、そんなことは全く気にならなかった。