「おはようございます。」



秘書課に入り、挨拶を交わしていく。そして、久し振りに自席へと腰掛ける。


机に積み上げられた資料に溜め息が漏れる。



「朱里、私も。」



前にすわる真央の指す先には山積みの資料がある。クスリと笑いが漏れる。



「同じだ。」


「はぁ。」



二人で小声で話していれば、人の気配に隣を見上げた。



「松井さん、副社長が呼んでます。」


「…………。」


「伊藤さんも手が動いてませんが?」


「…………。」



賢人の別人のような対応にじっと見つめてしまった。一昨日までとは対応が別人だ。


一瞬、賢人の口角が上がった。席から勢いよく立ち上がり頭を下げた。



「佐伯課長、副社長室へ行ってきます。」


「はい、お願いします。」



急いで副社長室へと向かった。