「おはようございます。」


「おはよう。」



またしても二人で出社した。副社長の後ろをついてロビーに入っていく。


社員の挨拶に上機嫌に応えている。



「俺宛は?」



上機嫌で受付嬢に話し掛ける尚輝の隣に立った。軽くお辞儀をして挨拶をする。



「副社長宛はこちらです。」


「ありがとう。」


「お二人は一緒に出社ですか?」


「ああ。」



受付嬢の問いに笑みを浮かべて尚輝が答える。私はお辞儀をして受付からエレベーターへと向かう。


エレベーターでも上機嫌な副社長に次々と声を掛けられる。



「副社長、ご一緒に出社ですか?」


「ああ、二人で出社だ。」


「お仕事お疲れ様です。」



社員の一言に副社長がその社員へと視線を向けた。明らかに雰囲気が変わった。



「仕事?」


「えっ?秘書の松井さんとでしょ?」


「知らないなら言っておくが彼女でもある。」


「………あっ、はい。」



戸惑う社員に溜め息を吐きそうになる。