歌を歌うことが好きだった。
1人の空間で響く声に、
自分はまだここにいると安心できた。


それが寂しさの裏返しだったのだと知ったのは、あーちゃんのせいだった。


「おまえ、寂しかったんだな。」


朝日に街が溶ける頃、
ふと、彼が言った言葉のせい。