「物好き…?」

語尾が、思わず上がる。
深く息を吸った彼は、まるで言葉を置くだけのように淡々と、口から言葉を綺麗に落とす。


語る風でもなく、
突き放すわけでもなく。
その顔はただ、なににたいしても執着しないようだった。


「物好きだろ。知らない男に声かけるんだぞ。それも、公園でぼーっとしてる奴なんて明らかにやばいだろ。」


「え、」

確かにそうだけど、と
言うより先に


「あ、それともお姉さんはそういうナンパ師的なアレなの?」

彼が冷静に話すから。
それが、かえって私を焦らせる。

「寂しそうに、見えたから。」


「なにが?」
私の言葉に、彼は鼻で笑う。
それと同時に恥ずかしくなって涙腺が緩んで、それでも言わなきゃいけないと思い、ゆっくりと口を開く。

「あなたの目と、表情。それから、後ろ姿も。話してみて初めてわかったけど、声も。今にも泣き出しそうなくらい、寂しそうに見える。」