次の日も、仕事を終えて夕方帰宅しようと公園を通る。

彼は、また昨日と同じようにベンチに腰掛けて奥にある遊具を眺めていた。

滑り台、登り棒、うんてい、ぶらんこ。


どれかをじっと見つめているような。
それでいて、なにも見ていないような表情に、ただ視線を話せずにいる。


気になってしまったが最後、
見なかったふりはできない性分だし、と。

公園を出てすぐ右側にある自販機で、お茶とスポーツ飲料を買った。

もう、こんなにも彼を意識してしまっている。嬉しさや期待を胸にしながらニヤついている自分がいるくらいだから、まあ、そういうことなんだろう。

暑さですぐに飲み物が汗をかいて、
手がしっとりと濡れていくのがわかった。





少しずつ歩みを進めたその後で、
「月が綺麗ですね。」
なんて言えたのはきっと、夏の夜風のせいだ。