彼は一瞬キョトンとした顔を見せた後、 「そっか。お姉さんもこっち座りなよ。」 といって、右側をポンポンと叩いた。 私は黙って移動して、ストンと腰を下ろす。 彼の片側は、普段誰かがいるのだろうか。 愛されないことが前提の、 契約じみた約束。 いつか愛されたいなんて考えをしてしまった日が、私たちの終わり。 私を見てて。 なんて感情は、満たされた瞬間から 「私だけを見て」という独占欲に侵されてしまうのだから。 ことの大きさを。 この約束の重さを。 私は、そう遠くないうちに知ることになる。