しかたない。部屋に戻るか。
…でも、向居がいるかもしれない。
あんな出て行きかたをした手前、顔を合わせるのは気が重かった。
それに、すっぴんなんだよなぁ…。
衝動的に出てきてしまったから、化粧道具も置いてきてしまった。
ああ、さんざんだ…。
財布と一緒に持ってきて、脱衣場で化粧しなおさないと…。
せっかく好転した気分も逆戻りしてしまったような心地で部屋に戻る。
向居がいないことを願いつつ、ドアをそーっと開ける。
残念ながら、向居は部屋にいた。
窓際の籐の椅子に腰かけ、優雅にビールを飲んでいる。
もうこうなれば素早く化粧道具と財布を取って、部屋を出ていくしかない。
意を決して部屋に上がり、向居に顔を見られないように横を向きながら、私は壁際に置いておいた荷物のもとへ急いだ。
財布はショルダーバック。
化粧道具は旅行バックの中のポーチにまとめて入っている。そのポーチさえ探し出せれば、あとはショルダーバックを持って脱兎のごとく部屋を抜けだせばいい…!
旅行バックのファスナーを開け、今朝自棄になって詰め込んだためにぐちゃぐちゃになっている荷物の中からポーチを探す―――あれぇ、どこらへんに入れたっけ…?
予想に反してすぐ見つからない―――あった!
と、目的のポーチを奥底で見つけてほっとしたところで、突然、背後から声が聞こえた。
「湯上り美人、発見」
…でも、向居がいるかもしれない。
あんな出て行きかたをした手前、顔を合わせるのは気が重かった。
それに、すっぴんなんだよなぁ…。
衝動的に出てきてしまったから、化粧道具も置いてきてしまった。
ああ、さんざんだ…。
財布と一緒に持ってきて、脱衣場で化粧しなおさないと…。
せっかく好転した気分も逆戻りしてしまったような心地で部屋に戻る。
向居がいないことを願いつつ、ドアをそーっと開ける。
残念ながら、向居は部屋にいた。
窓際の籐の椅子に腰かけ、優雅にビールを飲んでいる。
もうこうなれば素早く化粧道具と財布を取って、部屋を出ていくしかない。
意を決して部屋に上がり、向居に顔を見られないように横を向きながら、私は壁際に置いておいた荷物のもとへ急いだ。
財布はショルダーバック。
化粧道具は旅行バックの中のポーチにまとめて入っている。そのポーチさえ探し出せれば、あとはショルダーバックを持って脱兎のごとく部屋を抜けだせばいい…!
旅行バックのファスナーを開け、今朝自棄になって詰め込んだためにぐちゃぐちゃになっている荷物の中からポーチを探す―――あれぇ、どこらへんに入れたっけ…?
予想に反してすぐ見つからない―――あった!
と、目的のポーチを奥底で見つけてほっとしたところで、突然、背後から声が聞こえた。
「湯上り美人、発見」



