オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

「俺、そんなに性格悪いか?」


嫌味なところはあるけど、性格が悪いとまでは思っていない。
裏表があったとしても、社内であれほど上下関係男女問わず好かれたりはしないだろう。そういうところは、遅かれ早かれ周囲に判ってしまうものだから。

なら、いったいどうして…。

どうしてなのか。

どうして私は向居の言動に敏感に反応して、腹を立ててしまうのだろう…。


「俺たち新卒の頃は付き合いがあったじゃないか。一緒に研修受けて、終わったら一緒に飯食いに行ったりして」


向居は懐かしむように遠くを見る目をした。

確かにその通り、新卒の頃、同期とよく反省会なる食事会を開いた。
互いの成果とか言われたダメ出しとかを恥ずかしげもなく晒し合って励ましあう、今思えばかわいらしい新人たちの吐き出し会だ。

確かに向居も参加はしていたけれど、自分のことは全然話さず、ほかの同期の話を聞いていただけという記憶しかない。
なに考えているのかわからないやつ、って思うばっかりで、その時は全然印象に残らなかった。