「料理の味を確かめるのに恋人同士の会話なんて必要ないでしょ」
「感想ぐらいは言い合うべきだろう? さっきからずっとだんまりで料理にも集中していないじゃないか。それでロケハンって言えるのか?」
たしなめるようにじっと見つめてきた向居だったけれど、私が見つめ返すと、少しきまり悪そうな表情になって視線をはずした。
「というか、怒っているだろ、まだ、さっきのこと」
…一応、反省してくれているのね。
逆ギレまでされて、どういうわけ? と思ったけれど。
「別に、もう怒ってないわよ」
「嘘つくなよ。顔にまだ出ているぞ。…と言うか」
意を決したように、向居は再び真っ直ぐ私を見つめた。
「どうして俺のことがそんなに嫌いなんだ?」
思わず、胸がどきと跳ねた。
まるで知られたくないことを探られるような、緊張の高鳴りを覚える。
「…嫌ってないわ」
「嫌ってるだろ。嫌われる方は、いい気がしないんだがな」
「……」
笑いを含めながら言う向居だったけれど、うつむき気味なその表情には苦い感情がにじんでいるのがわかった。
こんな顔の向居、仕事中では見たことがない。
さすがに私も、胸にじくりとしたものを覚える。
そうね。
そうよね。
嫌われるのは、誰だってつらいわよね…。
「感想ぐらいは言い合うべきだろう? さっきからずっとだんまりで料理にも集中していないじゃないか。それでロケハンって言えるのか?」
たしなめるようにじっと見つめてきた向居だったけれど、私が見つめ返すと、少しきまり悪そうな表情になって視線をはずした。
「というか、怒っているだろ、まだ、さっきのこと」
…一応、反省してくれているのね。
逆ギレまでされて、どういうわけ? と思ったけれど。
「別に、もう怒ってないわよ」
「嘘つくなよ。顔にまだ出ているぞ。…と言うか」
意を決したように、向居は再び真っ直ぐ私を見つめた。
「どうして俺のことがそんなに嫌いなんだ?」
思わず、胸がどきと跳ねた。
まるで知られたくないことを探られるような、緊張の高鳴りを覚える。
「…嫌ってないわ」
「嫌ってるだろ。嫌われる方は、いい気がしないんだがな」
「……」
笑いを含めながら言う向居だったけれど、うつむき気味なその表情には苦い感情がにじんでいるのがわかった。
こんな顔の向居、仕事中では見たことがない。
さすがに私も、胸にじくりとしたものを覚える。
そうね。
そうよね。
嫌われるのは、誰だってつらいわよね…。



