オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~




「箸、止まってるぞ」

「…え」


急に言われて驚いた私は、慌てて醤油もつけずにお刺身を口に押し込んだ。


「さっきから、なにぼんやりしているんだ」

「え、やだな私、ぼーっとしてた…?」


笑ってしらを切ってみせるが、向居ははぐらかされない。


「まさか、こんな豪勢な料理を不味いとか思ってないだろ。実は超偏食とかやめてくれよ」

「ち、ちがうわ、どれも美味しいわよ」


清流でしか獲れない川魚を使った料理も、最高ランクの肉も旬の高級海鮮も、東京でも食べられないような豪華さで、さすが料理の評価も高いだけある。

けど、美味しいはずなのに…頭が味覚を感じていない。…ただ、咀嚼しているだけ。