行かない、ですって?
この土壇場でなにを言い出すんだ、こいつは…!
「なに言ってんのよ! もう新幹線もホテルも予約しちゃったのよ!」
それだけじゃない。基樹の好みに合うものを調べて計画を練って…。
「巡るところも料理も宿泊先もぜんぶ調べに調べたのよ…」
「……」
「予約もとって、完璧な行程なのに…! ぜんぶ基樹によろこんで」
「だからむかつくんだよ、おまえのそういうところが昔から! ぜんぶ自分が正しいと思って、なにもかも勝手に決めて!」
怒号にも近い基樹の言葉に、私は言葉を失い、そして怒りも無くした。
昔から、って…。
基樹の言葉が、頬を張るかのように痛みをあたえる。
基樹、よく言ってくれてたじゃない。
『都の方が俺よりずっといろいろ考えてくれるから助かる』って。
『俺、都のそういうところ尊敬する』って…。
あの言葉、嘘だったの…?
「おまえは、そうやって俺のことも見下してんだろ、『出世コースから外れた落ちこぼれ』って」
「そんなこと思って」
「思ってるだろ! 『しょうもない男だけれど腐れ縁だし私がいなきゃこいつはだめなんだ』って憐れんでるだけだろ!?」
「……」
「そういうところも勝手だよな。…うんざりなんだよ、いいかげん」
この土壇場でなにを言い出すんだ、こいつは…!
「なに言ってんのよ! もう新幹線もホテルも予約しちゃったのよ!」
それだけじゃない。基樹の好みに合うものを調べて計画を練って…。
「巡るところも料理も宿泊先もぜんぶ調べに調べたのよ…」
「……」
「予約もとって、完璧な行程なのに…! ぜんぶ基樹によろこんで」
「だからむかつくんだよ、おまえのそういうところが昔から! ぜんぶ自分が正しいと思って、なにもかも勝手に決めて!」
怒号にも近い基樹の言葉に、私は言葉を失い、そして怒りも無くした。
昔から、って…。
基樹の言葉が、頬を張るかのように痛みをあたえる。
基樹、よく言ってくれてたじゃない。
『都の方が俺よりずっといろいろ考えてくれるから助かる』って。
『俺、都のそういうところ尊敬する』って…。
あの言葉、嘘だったの…?
「おまえは、そうやって俺のことも見下してんだろ、『出世コースから外れた落ちこぼれ』って」
「そんなこと思って」
「思ってるだろ! 『しょうもない男だけれど腐れ縁だし私がいなきゃこいつはだめなんだ』って憐れんでるだけだろ!?」
「……」
「そういうところも勝手だよな。…うんざりなんだよ、いいかげん」



