オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

しょうがないよね。
基樹だって納得して今の道を選択したんだもの。私だってそう。
だから、お互い仕事のことは口出ししない。

…そう、仕事のことは。
でも、それ以外のことは別だ。


「ねぇ、食べた弁当箱くらい捨ててよ」

「んー」


基樹はスマホから顔を上げようともしない。
私は弁当をゴミがあふれそうなゴミ箱につまみ入れて、スーツを脱ぎブラウスを洗濯機へ放り入れる。
しまった。
今日こそ洗濯しなきゃと思っていたんだった。ああでもこれから明日からの旅行の荷造りしなくちゃいけない…。
ある程度は昨晩しておいたけれど、洗顔道具とか、まだ詰めるものは色々ある…。

芽生えた苛立ちを抑えてリビングに戻れば、ソファに寝そべっている基樹が目に入る。

定時に帰れたんなら洗濯ぐらいしてよ。スイッチ入れるだけじゃない。

けど言えば「どうせ俺は暇だよ」みたいな文句をいって機嫌が悪くなるのは目に見えていた。
だからこらえる。明日から旅行なのに、気不味い空気はつくりたくない。

ってか基樹、荷造り終わったの??


「ねぇ、明日の荷造り終わったの?」

「えー?」


まだ顔を上げないままだ。私は同じ質問を繰り返した。今度は「荷造り」を強調して。


「は? 荷造り??」


基樹がやっと顔をあげた。どういうわけか、ひどく訝し気な顔をしている。