オプションは偽装交際！～大キライ同期とラブ・トラベル！？～

久しぶりの二人旅。
しばらく旅行らしい旅行もしてこなかったのは、私が仕事づくしで忙しかったからだ。
だからお詫びもかねて、二人で日程を決めた後のこと―――つまり下調べや行程、施設への予約といった事前準備は、すべて私が入念に行った。

基樹に旅を存分に楽しんでもらおうと思った。

プレゼントのつもりだった。

こんな私と長く付き合ってくれたお礼と、これからもよろしくという意味をこめた、二人の記念としての。

ロケハンを兼ねてではあったけれど、恋人と行くロマンチックな癒しの旅だもの。
純粋なデートとして楽しむことができれば、おのずとよい収穫を得られると思っていた。


そうして迎えた旅行前夜。
つまり昨晩のこと。

別の件で残業してやっと帰宅した頃には、基樹はとっくに一人でコンビニ弁当を食べ終えてスマホゲームに没頭していた。

またゲーム。
空になった弁当には乾ききったソースがこびりついていて、毎晩飲んでいるビールはすでに二缶も空になって転がっていた。
今日も定時で上がって余暇を満喫していたのだろう。

私がいる企画営業部は花形と言われ表向きは華やかだけれど、言っちゃえばただの社畜場だ。
常に締め切りに心身とプライベートを犠牲にしている。

対して基樹のいる販売所の営業は、企画営業部が作った商品を販売するだけの業務。
残務がなければ閉店後すぐに帰宅の途につけた。

私と基樹。
スタートと目指す場所は同じだったけれども、今はまったく異なった道を歩くようになっていた。