早めに退勤できたはいいけれど、帰宅ラッシュにドンピシャなこの時間帯。
乗った地下鉄は、満員とまではいかないけれど、密度が高かった。
人の多さに酔ってしまったのか、なんだか気持ち悪くなってきた。
特に今日は車内の臭いを敏感に感じる。ああ気持ち悪い。この時間ってこんな臭ったっけ……?
やっと下車駅に着いてドアが開くなり、私は酸素を求めるように飛び出したー―瞬間、くらりとして脚が崩れた。
「都……!」
とっさに柊介が支えてくれたから助かったけれど、うずくまってしまっていたら下車する人達に蹴られたかもしれない。
柊介にベンチ座らせてもらうものの、まだ体調は戻らず眩暈すら覚える。
もう一本乗り継ぎがあったけれど、私の様子を重く見た柊介に強制され、タクシーに乗った。
病院に行こう、と促す柊介に、私は首を振る。
「大丈夫、タクシーに乗ったら治まってきた」
「熱は? 怠さは?」
「ないよ。……とにかく、気持ち悪くて。風邪でこんなになることはなかったんだけれど」
「……」
「最近、妙にムカムカしてて。食欲がないのもそのせいだったの。さっきは車内の臭いがやけに辛くて」
「……」
柊介は何か考えるように押し黙っていたが、意を決したように訊いてきた。
「都、最近の生理いつ来た?」
「……え?」
言われてみて、はっとなる。
「今月、ずっと来てない……」
柊介は運転手さんに頼んで、近場のドラックストアに停めてもらった。
帰宅後、すぐにトイレに駆け込む。
数分後、二人で買ってきた検査棒を囲んで、息を殺して待ったその結果は――
陽性。
「妊娠しちゃった……」
乗った地下鉄は、満員とまではいかないけれど、密度が高かった。
人の多さに酔ってしまったのか、なんだか気持ち悪くなってきた。
特に今日は車内の臭いを敏感に感じる。ああ気持ち悪い。この時間ってこんな臭ったっけ……?
やっと下車駅に着いてドアが開くなり、私は酸素を求めるように飛び出したー―瞬間、くらりとして脚が崩れた。
「都……!」
とっさに柊介が支えてくれたから助かったけれど、うずくまってしまっていたら下車する人達に蹴られたかもしれない。
柊介にベンチ座らせてもらうものの、まだ体調は戻らず眩暈すら覚える。
もう一本乗り継ぎがあったけれど、私の様子を重く見た柊介に強制され、タクシーに乗った。
病院に行こう、と促す柊介に、私は首を振る。
「大丈夫、タクシーに乗ったら治まってきた」
「熱は? 怠さは?」
「ないよ。……とにかく、気持ち悪くて。風邪でこんなになることはなかったんだけれど」
「……」
「最近、妙にムカムカしてて。食欲がないのもそのせいだったの。さっきは車内の臭いがやけに辛くて」
「……」
柊介は何か考えるように押し黙っていたが、意を決したように訊いてきた。
「都、最近の生理いつ来た?」
「……え?」
言われてみて、はっとなる。
「今月、ずっと来てない……」
柊介は運転手さんに頼んで、近場のドラックストアに停めてもらった。
帰宅後、すぐにトイレに駆け込む。
数分後、二人で買ってきた検査棒を囲んで、息を殺して待ったその結果は――
陽性。
「妊娠しちゃった……」



