「夕飯、まだ作ってないでしょ?」
と訊いてきた都の手にはスーパーの袋があった。
今夜は都が夕食を作ってくれることになっていた。
「適当なものでよければ作って待ってたのに。帰ったばかりで疲れているだろ?」
「大丈夫よ。いつも作ってもらって悪いから、今夜は柊介は座って待ってて!」
俺は独り暮らしをして長いので、簡単な料理くらいは一通り作れる。晩飯なんて早く帰った方が適当に作ればいいのに。
別に俺は家庭的な女性が好みというわけでもないし、好きな子の手料理を食べてみたいとかいったお花の咲いた願望も持っていない。
一緒にいて一緒に笑いあっていれば、それだけで十分幸せだ。
そこにさらに、料理が苦手な都が俺のために頑張ろうとしてくれるなんて、感激してしまう。
好きな子が俺のために苦手なことに挑戦してくれるなんて、こんな幸せなことはないじゃないか。
たとえこの前みたいに火が通っていない野菜カレーが出ても、俺は奇麗に平らげるぞ、都。
と幸福感に浸っていた俺だったが、おずおずと俺に近付いてきた都の姿を見るなり、急激に意識が活性した。
「ね、柊介、エプロン、後ろの紐、結んで?」
俺の男性用エプロンを付けた都があまりにも可愛くて、グッと来てしまったからだ…。
抱き締めたい衝動を必死に抑えて、紐を縛ってあげる。
「…いいぞ」
「ありがとう!」
くるりと振り返り都はにっこり笑う。「待っててね、今日はお肉料理よ」
エプロンはまったくサイズが合っていない。ぶかぶかでワンピースみたいだ。可愛い。だめだ、抱き締めたい。
嬉々としてキッチンに立つ都に目が離せなくなる。
今まで付き合ったどの女性も料理を作ってくれたけれど、エプロン姿にこんなにときめいたのは今夜が初めてだった。
知らなかった…。
好きな子のエプロン姿に、これほどの破壊力があるなんて…。
「痛…っ」
不意に声が聞こえて、俺は無意識に駆け寄った。
「切ったのか?」
「ん、ちょっとね」
と訊いてきた都の手にはスーパーの袋があった。
今夜は都が夕食を作ってくれることになっていた。
「適当なものでよければ作って待ってたのに。帰ったばかりで疲れているだろ?」
「大丈夫よ。いつも作ってもらって悪いから、今夜は柊介は座って待ってて!」
俺は独り暮らしをして長いので、簡単な料理くらいは一通り作れる。晩飯なんて早く帰った方が適当に作ればいいのに。
別に俺は家庭的な女性が好みというわけでもないし、好きな子の手料理を食べてみたいとかいったお花の咲いた願望も持っていない。
一緒にいて一緒に笑いあっていれば、それだけで十分幸せだ。
そこにさらに、料理が苦手な都が俺のために頑張ろうとしてくれるなんて、感激してしまう。
好きな子が俺のために苦手なことに挑戦してくれるなんて、こんな幸せなことはないじゃないか。
たとえこの前みたいに火が通っていない野菜カレーが出ても、俺は奇麗に平らげるぞ、都。
と幸福感に浸っていた俺だったが、おずおずと俺に近付いてきた都の姿を見るなり、急激に意識が活性した。
「ね、柊介、エプロン、後ろの紐、結んで?」
俺の男性用エプロンを付けた都があまりにも可愛くて、グッと来てしまったからだ…。
抱き締めたい衝動を必死に抑えて、紐を縛ってあげる。
「…いいぞ」
「ありがとう!」
くるりと振り返り都はにっこり笑う。「待っててね、今日はお肉料理よ」
エプロンはまったくサイズが合っていない。ぶかぶかでワンピースみたいだ。可愛い。だめだ、抱き締めたい。
嬉々としてキッチンに立つ都に目が離せなくなる。
今まで付き合ったどの女性も料理を作ってくれたけれど、エプロン姿にこんなにときめいたのは今夜が初めてだった。
知らなかった…。
好きな子のエプロン姿に、これほどの破壊力があるなんて…。
「痛…っ」
不意に声が聞こえて、俺は無意識に駆け寄った。
「切ったのか?」
「ん、ちょっとね」



